“涼しげ”が求められる夏の着物だけれど、限られた季節こそ楽しもうとした気概が伝わるアンティーク着物は、涼しげというよりパワフルなものに目が留まります。埋め尽くすような刺繍は決して涼しげではないけれど、ついつい手が伸びるのはそんな刺繍帯だったり、大胆に麻の葉柄を走らせた紅梅の着物だったりするのです。
小物は高まるアンティークの熱量を落ち着かせるべく、グレーがかった青藤色の帯揚げに焦茶と納戸色二筋の帯締ですっきりと。単色の帯締も使いやすいけれど、2色で縞を作る帯締はシャープな印象に仕上がります。パスケースはアヤメ、バッグは明るいトーンのかごバッグで夏らしいアイテムもお供に。
一見派手だけれど、派手すぎることのない麻の葉柄の着物。小豆色×墨黒のコントラストの強い色合わせを、くすんだ辛子色が程よく中和していて、アンティークらしい雰囲気を楽しみつつも着やすい一枚。たまには長めの袂を揺らしながらのお出かけもいいものです。
8月の着物コーディネート
【着物】 仕立て:単衣(薄物) 素材:綿(紅梅) 柄:麻の葉
【帯】 仕立て:刺繍九寸名古屋帯 素材:正絹(絽)
【帯揚げ】素材:絹(絽縮緬)
【帯締め】冠組 素材:絹
【長襦袢】素材:麻
【半衿】素材:正絹(絽)