おチビと着物「お宮参り」

今年の夏、我が家におチビさんがやってきました。はてさて調べてみるとおチビさんは生まれて間もなくからなかなか忙しいようです。

まず生まれて七日目の「お七夜」。親族や近所の人を集め(最近では親族のみでしょうか)、皆さんに名前をお披露目して一緒に食事をします。おチビさんは名前をもらうことで人格が備わり、みんなと一緒に食事をすることで仲間の一員となります。

お次は「お宮参り」。おチビさんは初めて氏神さまにご挨拶に行きます。男の子は生後31日目、女の子は32日目(諸説あり)に行くとされていましたが、最近では天候や赤ちゃん・お母さんの体調の良い日に行くことが多いそうで、我が家も私の体調が良くなってからのお参りに。氏神さまに無事に生まれた感謝を伝え、ご加護をお祈りしました。



お宮参りでのおチビさんの衣装は祝い着です。まずはおチビさんを抱っこ、顔が見えるように祝い着を掛け、祝い着についている掛け紐を一方は肩から、もう一方は脇から背中に回して蝶々結びにします。

我が家のおチビさんの祝い着は鮮やかなオレンジの地色に牡丹の花咲く花車文様の絽の着物。「昔は祝い着を七五三の衣装にも仕立て変えたのよ。」なんて話を聞いて憧れていたのですが、いかんせん夏生まれ。祝い着は夏の着物になるので秋の七五三の衣装には使えないとあって今回はレンタルしました。

写真ではあまり見えませんが、私の着物は青楓を散りばめたアンティークの夏の訪問着。いつもよりちょっと長めの袖をゆらゆら揺らして参拝しました。



昔は“祝い着は母方の祖母が用意をし、お参りでは父方の祖母が抱っこをする”というのが一般的だったようで、明治時代に描かれた浮世絵「見立て十二支 戌 神田明神参り/橋本周延作」でも赤ちゃんを抱っこしているのはお姑さんだそう。

そして気になるのは後ろに控えている男性がわんさと背負っている戌張子。お宮参りで忘れてはならないのが可愛い縁起小物たちです。お守り袋、末広(扇子)、そして多産で安産の犬にあやかった犬張子にでんでん太鼓、地域によっては五円玉や「お紐銭」と書いた袋を用意するところもあるそうです。

これらを祝い着の紐に通していくのですが、昔は近所の人や親戚の人たちがお宮参りへ行く赤ちゃんに犬張子を送ったそうで、たくさんの人から祝福の犬張子を受けた様子がこの浮世絵にも描かれています。



我が家の犬張子はでんでん太鼓を背負って、おチビさんの健康を見守ってくれています。さておチビさん、次の予定はお食い初め。次はどんな着物を着せようかと楽しみ膨らむこれからです。


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