人は見慣れたものに好意を持つそうです。それは形だったり色だったり。一昔前に流行った橙色やサーモンピンクの着物がイマイチ垢抜けて見えないのは、アスファルトの道路が通り、無駄がなく洗練された街並みの中で、見慣れない色だからなのかもしれません。でも紅葉の季節だけは、どんな都会の木々も色づき、街にこっくりとした暖かい色が帰ってきます。紅葉に色づく街の中では、今までちょっとボヤっとしていた着物の色が途端に目に鮮やかに映るから不思議です。
帯は塩瀬の名古屋帯。モミジ、イチョウに松葉、風に舞った落ち葉が吹寄られた文様「吹き寄せ」です。本来秋の柄付けですが、よく見ると青いモミジや梅を描いていたりと、秋以外の季節にも締められるような配慮が。とはいえ秋感満載ですが・・・
足元はエナメル3段の草履。台は淡いクリーム色のものを、刺繍の鼻緒には金糸銀糸を使わないものを選べば、礼装から小紋のお出かけ着まで幅広く使えます。足元にボリュームのあるバランスはきちんと感もありつつ、いまどきらしいシルエット。
Model mariko
11月のコーディネート
【着物】 仕立て:袷 素材:正絹 柄:花唐草模様
【帯】 仕立て:九寸名古屋帯 柄:吹寄せ 素材:正絹
【帯揚げ】素材:絹(縮緬)
【帯締め】三分紐 素材:絹
【帯留】九谷焼
【草履】 台:エナメル 鼻緒:刺繍
【長襦袢】素材:正絹
【半衿】素材:正絹(ふくれ織り)