若芽のような咲き始めの5月、雨に濡れて鮮やかさを増す見頃は6月、色味も褪せてひっそり咲く7月。ぽってりと可愛い紫陽花がだんだんと咲き始めました。一見花の様に見える部分は萼(がく)なので、すぐに枯れてしまうことなく長い期間楽しめるのも紫陽花のいいところ。
紫陽花は土壌のpHによって赤や青に色が変化し、また咲き始めてから花が終わるまでの間にも時を刻むごとに色が変わっていきます。そのため、花言葉には「移り気・浮気」なんて意味もあったり。一方で集まって咲く姿から「団結・家族団欒」という花言葉も。
時期
5〜7月
花言葉
耐え忍ぶ愛、団結、家族団欒、移り気、冷淡
▲ガクアジサイ
日本古来の紫陽花は写真のように周りだけに花(のように見える萼)が咲く「ガクアジサイ」。紫陽花は万葉集にも見られるほど古くから自生していた花ですが、日本で一般的に広く普及したのは西洋で交配された「セイヨウアジサイ」が逆輸入されてから。
▲セイヨウアジサイ
手毬咲きと呼ばれる、一かたまり全てが花の様に見える咲き方の「セイヨウアジサイ」。セイヨウアジサイが逆輸入された後、日本でも多くの品種改良がされ、その数今では数千種類とか。
着物や帯で紫陽花が描かれたものは5月〜7月上旬頃の着用がメイン(ゆかたは別ですが)。またどんな生地に描かれているかによっても、着用時期は異なります。透け感のない生地なら5月〜6月中いっぱい、透け感のある生地なら6月中旬〜7月中旬までが着用の目安です。
花言葉の解釈もまた面白い。例えば結婚式へ着ていく着物、紫陽花の花言葉を「移り気」と取れば憚られるけれど、「家族団欒」と取ればぴったりな柄付け。どちらが正解というものでもないけれど、着る人を悩ませるに十分な相反する2つの花言葉です。
季節を写す様にその時期の植物を着物や帯に取り入れることもあれば、花言葉に思いを乗せて柄を選ぶこともある。そんな着物選びを面白いと思うか面倒と思うかは、着物にはまるかはまらないかに通じると思うのです。