平安時代、入浴時にまとった(当時の浴衣はサウナ式)湯帷子・ゆかたびらにルーツをもつ現在の浴衣。お風呂上がりのバスローブ、家で着るうちうちの日常着、時代と共にその役割を変え、今では夏を彩るお洒落着となりました。凝った生地に染め上げられる色も柄も実に多彩な新作浴衣の一方で、この夏素敵に見えたのは一昔前の浴衣姿。暑い夏をやり過ごすような、寛いだような、そんな浴衣の着こなしです。
あぁ、暑い。そんな昼下がりの浴衣姿。浴衣らしく衿は抜きすぎず、キュッと文庫に結んで気楽な部屋着です。
綿絽に紅梅、変わり織り、生地の種類も豊富になった現代の浴衣売り場では押され気味の綿コーマ。涼やかな透け感はなくとも、今改めて見るとしなやかで肌馴染みが良く、しゃきりとした表情が新鮮です。
昭和52年に発行された美しいキモノの別冊では、大人の女性が浴衣を着るならば、昼時は紺地、夜ならば白地、そうして八寸名古屋帯なんかをチャチャッと結ぶのがよろしいとあります。
紺地に白抜きで大輪の花を咲かせた潔い浴衣は、当時の雑誌に倣って半幅帯を名古屋帯に締め直し、足先にそっと赤色を足したりなんぞして、女っぷりも上がる浴衣姿に。
今も昔もこどもの浴衣は愛らしいもの。ワッフル地に当時流行った仮面ライダーと怪獣のイラストが踊る浴衣には、ゆらゆらふわふわ揺れる兵児帯がお決まりです。
コーディネート
女性
【浴衣】 綿コーマに注染で大花
【帯】 仕立て:半幅帯 素材:正絹・博多献上
【下駄】 素材:桐の2枚歯
こども
【浴衣】 ワッフル地に仮面ライダー柄
【帯】 兵児帯
【下駄】