南仏へ行きたいけれども海は苦手…と言うことで決まった旅先はプロヴァンスの中央に位置するリュベロン地方。連なる山々の斜面や合間を縫うように美しい小さな村が点在しています。
その中のひとつ、ゴルドはまるで天空に浮かんでいるかのように見えるお伽話みたいな村。11世紀に頂上の城塞が、12世紀には村を囲う城壁が作られて今の村の形になったそうです。
村の中は右も左も足元を見ても石造り。中世の戦いの名残を感じさせるような建造物もあれば、物語が始まりそうな小道もあって、足を止めては渓谷を見下ろす、そんなのんびりした時間を過ごせる村です。
訪れたのは9月。まだまだたっぷり降り注ぐ南仏の日差しに似合うきものを、と選んだ一枚は赤・黄・黒と大胆に染めわけた麻の葉模様の絹紅梅。合わせたのは、銀糸が織り込まれたアンティークの帯。日の光を受けてキラキラと光ります。帯枕は使わずにくたっと銀座結びにしました。
山肌をなぞるように作られた村だから、どこもかしこもいい眺め。日の入りとともにお宿へ帰りました。