来たる夏に思いをめぐらせながら今年も浴衣の支度を始めています。カラリと晴れた日、たすき掛けで行うのは反物の「水通し」です。
綿100%で作られた浴衣の反物は水を通すと必ず縮みます。なのでそれを見越して大きく仕立てるということもあるようですが、生地の伸縮率は様々です。せっかく仕立てに出すのであれば、ジャストサイズの浴衣が着たいもの。そこであらかじめ反物を水にくぐらせて縮めておく「水通し」をしてから自分の寸法通りに仕立ててもらっています。
この水通し、浴衣の反物の仕上げに使っている“糊を落とすため”に行う場合もありますが、今回はサイズの狂いをなくすため、生地を縮めるためにしています。
今年選んだ浴衣は一面のふくら雀。なーんにも考えていないような呑気な顔がたまりません。寒さをしのぐために羽を膨らませてまんまるになった雀に「福良(ふくら)」の文字をあてた福良雀(ふくらすずめ)の文様は吉祥紋でもあります。
生地は綿紅梅。格子状に太い糸を織り込むことで生地に凸凹が生まれ、肌に触れる面が少ないので涼しく着られます。生地の凸凹=勾配に「紅梅」の漢字をあてた名前も素敵な夏の生地です。
それでは水通しのスタートです。綺麗に掃除をしたシンクやお風呂の浴槽、大きなたらいなどに水を張ります。お湯やぬるま湯だと色落ちしてしまうこともあるので必ず冷水を使います。
最初に反物を端を揺らすように入れて色落ちしないことを確認したら、布全体が水を吸うように手で軽くおさえながら、ジャバラに布を水に浸けていきます。
※ここで色落ちしてしまう生地であれば水通しはプロにお任せしましょう
生地全体に水が通ったら取り出します。反物を手で挟むように水気を絞り、さらにバスタオルなどの大判の布でつつむようにして水分をとります。ここで雑巾絞りをしたり、無理に水分を取ろうとぎゅうぎゅうと押してしまうと、深いシワになったり色落ちの原因になるのでご注意を。水が滴らない程度に水気が取れれば十分です。
洋服用のハンガーでは少々味気ない気もしますが、、、反物幅より広いサイズのハンガーに生地と生地とがくっつかないように間隔を開けて、陰干しで反物を干していきます。お天気のいい日ならこの時期半日ほどで乾いてしまいます。
反物が乾いたら最後の仕上げはアイロンです。細かなシワをとりつつ、生地の布目を整えるように一方向に向かって生地の裏からアイロンをあてていきます。生地の歪みを取ろうと布を無理に引っ張ってしまうと、せっかく縮めた生地が元に戻ってしまうので丁寧に。ちなみに今回の反物は1mで2.5cm縮みました。
アイロンをかけながら、生地のキズや染め難などを見つけたら生地の端に糸で印をつけておきます。和裁士さんも仕立てる前に生地を確認してくれますが、難のある場所は揚げや前身頃など、着た時に見えない位置にくるように仕立ててもらいます。
水通しが終わったらいよいよお仕立てへ!昨年浴衣を仕立てた時の和裁士さんとのやり取りは
こちらの記事で紹介しています。